
静岡県裾野市、かつての工場跡地で建設が進む「Woven City(ウーブン・シティ)」。
ニュースで見ると、なんだか未来の都市を作るすごいプロジェクト、って感じがしますよね。 でも、これ、単なる夢物語じゃないんです。
むしろ、今のトヨタが抱える大きな課題を乗り越えるための、めちゃくちゃ泥臭くて挑戦的な「逆襲のシナリオ」なんですよ。
なぜトヨタは、本業の自動車づくりから少し離れてまで、「街」をゼロから作ろうとしているんでしょうか? そこには、今の自動車業界を支配しつつある「ソフトウェア」という巨大な壁がありました。
ハードウェアの王者がぶつかった「ソフトウェアの壁」
ご存知の通り、トヨタは「車という機械」を作らせたら世界一です。 でも、今の自動車の価値は、どんどんソフトウェアに移っています。
この分野で先頭を走っているのがテスラ。 彼らは「車は走るスマホだ」という考え方で、車のOS(基本ソフト)から自分たちで作ってしまいました。
一方で、トヨタをはじめとする既存メーカーは、ハードウェアに集中してきた歴史が長い。 だから、ソフトウェア開発のスピードでは、正直かなり遅れをとっていたんです。
ウーブン・シティは、このソフトウェア競争でテスラや他のライバルを追い抜くための、 「超巨大な実験場」 というわけです。
なぜ「トヨタの土地」じゃなきゃダメだったのか?
「自動運転の実験なら、普通の道路でもできるんじゃない?」って思いますよね。 でも、日本の法律(道路交通法とか)の中だと、やれることってすごく限られちゃうんです。
- 新しい乗り物のルール作り
- 車と信号が24時間ずっと通信し続けること
- 宅配ロボットが自由に走り回ること
こういうのを「公の道」でやろうとすると、役所との調整だけで何年もかかってしまう。 スピードが命のソフトウェア開発で、これは致命的です。
だからトヨタは、自分たちで土地を持って、 「トヨタのルールが法律になる街」 を作る必要があったんです。
法的な縛りがない自由な空間で、好きなだけソフトを更新して、バグを見つけて直していく。 この「圧倒的な実験のしやすさ」こそが、ウーブン・シティの一番の強みなんですね。

街全体を「巨大なOS」に変える野望
トヨタが目指しているのは、単に新しい車を作ることだけじゃありません。
エネルギー、ゴミ処理、健康管理、そして移動。 生活に関わるすべてのデータをネットで繋いで、最適化するための基盤(プラットフォーム)を完成させること。
つまり、 「街そのものを一つのOS」 みたいにして、その上で動く便利なアプリを開発していくイメージです。
これができれば、トヨタは「車を売る会社」から、「人々の生活を支えるプラットフォーム企業」へと進化できるかもしれない。 すごい話だと思いませんか?
最後に:トヨタの「執念」が未来を見せてくれる
このプロジェクトには、ものすごいお金がかかっています。 もちろん、成功する保証なんてどこにもありません。
でも、今のトヨタには「このままじゃソフトウェアで負けてしまう」という、強い危機感があるんだと思います。 自分たちの強みであるハードウェアを活かしながら、どうやってデジタルの世界でも勝負していくか。
ウーブン・シティは、トヨタが「モビリティ・カンパニーになる」と宣言した、その覚悟の表れなんでしょうね。
僕たちは今、一つの会社の挑戦というだけじゃなく、日本の産業が大きく変わる瞬間を見ているのかもしれないな、なんて思ったりします。
