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AI開発より結局「人間チーム」が速い?プログラミング現場で起きる奇妙な逆転現象

最近、ある企業の開発者ブログで非常に痛快な記事を読みました。

シンプルな話題ですが、システム開発を「人間だけのチーム」と「AI×人間のチーム」で行った結果、人間チームの方が効率面で勝ったという話です。

果たして、爆速でコードを吐き出すAIになぜ人間が勝てたのでしょうか?

AIの「普通」が生み出す人間とのギャップ

AIにコード生成させた経験がある人ならわかると思いますが、生成スピードはそれこそ魔法のようです。

ですが、その品質は良くも悪くも「普通」の域を出ないことに気づくはずです。

人間がコードを書くときは、後々のための効率化や、設計上の「美しさ」を考えます。長くなりがちで泥臭いコードをあえて避け、短くシンプルにまとめようとする意識が働くからです。

結果として、人間チームは最初から最後まで「一定の高い品質」を保って開発を進められます。

一方でAIを使うと、プロンプトの微調整に時間がかかったり、謎のエラーを結局人間がレビューする羽目になります。

0から5は一瞬でも「10に届くのは人間だけ」

同じ「デプロイするサービス」という目標に向かう以上、どちらのチームも目指すべきゴールは同じです。

わりと「AI凄い!なんでもできる!」と騒いでる人ほど、この壁を体感していない気がします。 プログラミング未経験者が、AI頼みでモックアップを作れるようになったのは事実です。

ですが、プログラミングとは「欲しい機能」を論理というブロックで緻密に組み立てる建築作業です。 AIに家づくりを丸投げできても、細部の「デザイン」には大きなギャップが生まれます。

抽象的なプロンプトでも、AIは真顔でとりあえず動くものは作ってくれます。 しかし、その成果物がシステムとして「効率的で美しいか」は、まったく別の話です。

AIの成長と限界を示す抽象的なグラフ

80点を超えるためには手で直した方が速い

「100点」の完成品を求めたとき、AIは「50点」までなら目にも留まらぬ速さで駆け抜けます。

そこからプロンプトを駆使して「ああでもない、こうでもない」と対話しても、せいぜい「85点」が限界です。

その残りの15点を埋めようとするくらいなら、プログラマーが直接コードを直したほうが圧倒的に速いのです。

指示の出し方で差がつく「AIの使いこなし」

SNSでも「バイブコーディングができます!」と意気揚々と入社した人が、結果を出せずに辞めていったというエピソードを見かけました。

原因は明白で、「指示の出し方の解像度」が根本的に違うからです。 未経験者は、エラーが出ても「なんかうまくいかないから直して」という曖昧な日本語しか使えません。

知識のある開発者なら、「〇〇のパラメータを30px動かしつつ、非同期処理のエラーハンドリングを追加して」と具体的な指示が出せます。 AIにとってどちらが理解しやすいかは、火を見るよりも明らかですよね。

基礎を知る者は直接コードを叩くという選択肢を持てる

UIに表示されている要素が、どのファイルの何行目で制御されているか? 体系的な知識さえあれば、わざわざAIに長文でお願いするよりも「自分で数値をちょっと弄るだけ」で済みます。

「結局自分で打った方が速くね?」という、あの感覚です。 ここがAIに全振りした人と、基礎を知っている開発者チームとの決定的な差になります。

0を1にする人間の「設計力」は奪えない

例えば「メルカリみたいなWebサービスを作りたい!」と言えば、AIはすぐに見本通りのクローンを作ってくれます。

では、この世にまだ「フリマアプリ」が存在しなかったらどうでしょう?

データベースの設計、フロントとの連携、決済システムの座組といった「土台の設計」は人間の仕事です。 AGI(汎用人工知能)でも登場しない限り、AIはどこまでいっても「極めて優秀な受け身の助手」にすぎません。

人間がビジョンとシステムアーキテクチャを描けなければ、高度な開発ほど後で泥沼化します。 「神プロンプト」をコピペして凄いシステムができたと喜べるのは、誰かがすでに正解を作ってくれているからです。

さて、これからの開発はどうなるか?

東大の入試問題をAIに解かせる実験も同じです。 過去のデータから数値をいじった問題なら公式に当てはめるだけですから、解けて当然なんですよね。

推論能力のベンチマークにはよくても、それはまだ「本質的な創造」ではありません。 AIのタイピング速度を利用しつつも、最後は手作業でコードを最適化できる人間チームこそが、現代における最強の構成です。

AIの波に振り回されるのではなく、どう使い倒すのか。 「なんかいい感じ」のモックアップから抜け出し、泥臭くコードを紡ぐ人間の価値は、これからもまだまだ高まっていきそうです。