「この商品、どうやって売ろう?」と考えたとき、心理学や行動経済学の理論を使えば効果的だと分かっていても、実践するのはなかなか難しいものです。
「バンドワゴン効果? カクテルパーティ効果? 名前は知っているけど、どう使えばいいの?」
そんな時こそ、生成AI(ChatGPTやClaude、Gemini)の出番です。 AIは既に世界中の心理学理論とマーケティング事例を学習済みです。私たちがやるべきなのは、彼らに**「適切な役割」**を与えて、アイデアを引き出すことだけ。
今回は、私が実践している「心理学×マーケティング」をAIに落とし込むための4ステップを紹介します。
Step 1: 心理学の理論をAIに「確認」させる
いきなり「アイデア出して」と言う前に、まずはAIの知識ベースを呼び起こし、共通言語を作ります。
プロンプト例: 「マーケティングに応用できる心理学や行動経済学の理論を5つ挙げてください。それぞれの理論が、商品の購買意欲をどう高めるかも簡単に説明して。」
これでAIは「あ、今からマーケティングの話をするんだな」とモードが切り替わります。 もし使いたい理論が決まっているなら(例:プロスペクト理論など)、それを指定して「この理論を今回の企画に使いたい」と宣言しましょう。
Step 2: ターゲット(ペルソナ)を憑依させる
次に、誰に売りたいかを明確にします。ここが曖昧だと、AIの回答もボヤけます。
プロンプト例: 「今回のターゲットは『30代後半、都心在住、健康診断の結果が気になり始めたビジネスマン』です。彼らが抱えている潜在的な不安や欲望を、心理学的な観点から分析してください。」
AIにペルソナを分析させることで、「健康への不安(損失回避性)」や「同僚と比較してしまう心理(社会的証明)」など、攻めるべき心理トリガーが見えてきます。
Step 3: 戦略をAIと「ブレスト」する
ここがメインの工程です。AIと壁打ちをしながら戦略を練ります。 ポイントは、「複数を提案させて、人間が選ぶ」というスタンスです。
プロンプト例: 「Step 1の心理学理論を用いて、Step 2のターゲットに向けたキャッチコピー案を10個出してください。それぞれ『どの心理効果を狙ったか』の解説も付けて。」

良いアイデアが出ない時は?
もし回答が平凡なら、あなたの知識不足かもしれません。でも大丈夫、それもAIに補わせましょう。
「心理学やマーケティングの知識がなくて…」と悩む必要はありません。 本屋に行って『影響力の武器』や『予想どおりに不合理』などの目次を眺め、気になった単語(例:アンカリング、返報性)をメモしてくるだけでOKです。
「この『アンカリング』という手法を使って、アイデアを出し直して」と言えば、AIは即座にその理論に基づいた高度な戦略を返してくれます。 私たちは「知識のインデックス(検索ワード)」さえ持っていれば、中身の処理はAIが完璧にこなしてくれるのです。
Step 4: アイデアを実行し、検証する
AIが出した案の中から、「あ、これは刺さりそうだ」と直感的に感じるもの(人間ならではの感覚です)を選び、実行に移します。
もしうまくいかなかったら? それもまたAIへのフィードバック材料です。 「このコピーではクリック率が悪かった。なぜだと思う? 別の心理学的アプローチはある?」と聞けば、AIはまた新しい視点で修正案をくれます。
まとめ:AIは「最強の壁打ち相手」
マーケティングにおいて、心理学は強力な武器です。しかし、理論オタクになる必要はありません。
- AIに理論を確認させ
- ペルソナを定義し
- 複数の切り口でブレストさせ
- 人間が決定する
このサイクルを回すだけで、あなたのマーケティング施策は「なんとなく」から「理論に基づいた戦略」へと進化します。 AIという「博識な相棒」を使い倒して、人の心を動かす企画を作っていきましょう。