栃木県のJAしおのやに勤務する職員が、約2500キロのコメを無断で転売し、現金約100万円を着服した事件が報じられました。
この事件は、JA内部の不正行為が露呈する一例であり、過去に発生した同様の米横流し事件と共通する特徴を持っています。
本記事では、過去の事例と照らし合わせながら、この事件の背景について考察します。
JAしおのやで起きた今回の米横流し事件
今回の栃木県での事件は、職員がコメを卸売業者に転売し、その代金を着服したことが発覚しました。
米2500kgを横流しして、着服金額は約100万円とのこと。
男性は横領をする以前から、内部職員から「行動が怪しい」と疑われて内部通報されており、積み込み作業中にバレても積み続けるなど、図太いというか後がなくて切羽詰まりすぎてた感じもします。
JAしおのやは、男性職員を刑事告発を視野に「関係機関、弁護士と連携し適切な対応を図っていく」とコメントしています。
米の値上がりがエグいのに
2500kgの米は倉庫から出したもので、卸売業者に売った差額を着服したようですね。
それで100万と8000円ほどだったらしく、ざっくり計算すると「キロ400円」の価格で、まぁ卸売に販売した価格そのままぽいなと思います。
玄米20kgをフリマサイトで売ったほうが金額は大きくできそうだけど、卸売に渡したところから、グルなんじゃないかなとも疑ってしまいます。
このような米の転売・横流し事件は、過去にもいくつか事例があります。
事件が起きる背景は共通項があり、今回の事件は「全農秋田県本部による横流し事件」と共通する点があります。
それは「米の市場価格が高騰しているタイミング」なことです。
全農秋田県本部による横流し事件
全農秋田県本部による横流し事件も、米の価格高騰を背景に発生しました。
事件が発生した年は、冷害による作柄不良の影響で米の価格が高騰していた時期でした。
2004年の15年産米は、秋以降に価格が上昇し、12月には60kgあたり23,768円の最高値に達していました。
この事件では、冷害による米の供給不足で価格が急騰したことを利用し、価格高騰の状況下で米の集荷を確保するために高水準の仮渡金が支払われたこともあり、虚偽の売渡し・買い戻しを繰り返して利益を得ようとする架空取引が行われました。
全農秋田県本部は、これによって不正に助成金を受給していたことも明らかになり、架空取引と価格操作による利益追求が問題視されました。
米の価格高騰と不正行為の関係
これらの事件には共通点があり、特に米の価格が高騰していたことが不正行為の背景として挙げられます。
例えば、全農秋田県本部による不正行為は、冷害による作柄不良で米の供給が不足し、価格が高騰したタイミングで行われました。
価格が高騰すると、通常よりも高い利益を得られるため、不正な転売や架空取引が行われやすくなります。
このような市場の動きに対する業者の行動は、今回の栃木県での横流し事件と非常に類似しています。
最後に:再発防止の取り組み
過去の不正事件の教訓から、米の適切な管理と流通の透明性を確保することが重要です。
事故米不正転売事件以降、農水省は輸入時に食品衛生法違反となった米穀を輸入業者が輸出国に返送するか廃棄する仕組みを導入しました。
しかし、今回の事件からも分かるように、内部管理体制の強化が依然として必要とされています。
今後、JAしおのやもコンプライアンス意識の向上と管理体制の見直しに取り組むべきでしょう。
米の横流し事件は過去から繰り返されてきた問題であり、今回の事件はその一例に過ぎません。
これからの対策として、業界全体での倫理教育の徹底と、流通の透明性を確保するためのシステムの強化が求められます。
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