日本のモビリティ業界に革新をもたらしたLUUP。
その成功の背景には、電動キックボードの法規制を突破するためのロビイングや根回しがありました。
LUUPの具体的な取り組みと、その結果実現した政策変更を解説します。
LUUPとは?日本初の電動キックボードシェアリングサービス
LUUPは、電動キックボードや電動アシスト自転車を提供するシェアリングサービス企業です。
都市部を中心に展開されており、「マイクロモビリティ」という新しい移動手段の普及を目指しています。
しかし、これらのサービスを展開するには、既存の道路交通法が大きな壁となっていました。
規制を乗り越えるためのロビイング活動
電動キックボードの公道走行を可能にする取り組み
LUUPの創業当初、日本の道路交通法では電動キックボードは「原動機付自転車」として扱われ、公道走行には運転免許やヘルメットの着用が必須でした。
これに対して、LUUPは規制の見直しを目指して、積極的なロビイング活動を展開しました。
マイクロモビリティ推進協議会の設立
岡井大輝CEOを中心に、「マイクロモビリティ推進協議会」が設立されました。
この協議会では、電動キックボードの安全性や利便性を訴えるとともに、規制の変更がもたらす社会的・経済的メリットを政府に説明しました。
これにより、政策決定者との信頼関係を構築することに成功しました。
実証実験で得た信頼とデータ
新事業特例制度を活用した実験
2021年4月、LUUPは「新事業特例制度」を活用し、電動キックボードの実証実験を開始しました。
この制度は、新しいビジネスモデルを実現するための規制緩和を試行的に許可する仕組みです。
- 実験の内容 LUUPは実際の都市部で電動キックボードを運用し、安全性や利用者の利便性に関するデータを収集しました。これにより、法改正に必要な根拠を示すことができました。
- 結果 この実験により、電動キックボードが都市部の移動手段として有望であることを証明しました。政府関係者にも「規制緩和が現実的である」と納得させる材料を提供しました。
法改正の実現とLUUPの成果
道路交通法の改正
LUUPの活動は、2023年7月の道路交通法改正という大きな成果をもたらしました。
この改正により、電動キックボードは新しい車両区分として認められ、以下の変更が行われました。
- 免許不要での運転 16歳以上であれば運転免許がなくても利用可能に。
- ヘルメット着用義務の緩和 義務ではなく推奨となり、利用ハードルが大幅に下がりました。
これにより、LUUPはサービスの対象ユーザーを拡大し、電動キックボードの普及に拍車をかけました。
LUUPのロビイングから学べること
LUUPの成功は、日本におけるロビイングと根回しの模範例と言えます。
その活動から以下のポイントが学べます。
- 協議会の設立で影響力を拡大 業界全体での協力体制を構築することで、政策決定者との交渉を円滑に進めることができました。
- 実証データの重要性 実験を通じて得られたデータが、規制変更を後押しする説得力のある材料となりました。
- 段階的なアプローチの重要性 特例制度を活用して規制の緩和を実現し、その結果をもとに本格的な法改正につなげました。
しかし実際は、道交法を守らないユーザーが多すぎるとSNSで話題になりました。
利用のハードルは低いほど伸ばしやすい事業だけど、道路標識すら知らなさそうな乗り方をしている映像も残っているため、現在はその問題を解決することを急がれています。
役員人事が「かなりやってる」
LUUPには、元警視総監が監査役に入るなど、人事も話題になりました。
記事中にLUUPが採用した理由が語られているので、ぜひ一読してください。
変な話、LUUPを道交法に基づいて、公道で使用するための法整備の管理をする役目に当たるわけですが、ユーザーがバリバリ破っているので、就任早々アウトになってもおかしくないですね。
直近では自転車の罰則が強化されたこともあり、電動キックボードも厳しく取り締まる流れは当然のことだと思うわけで……。
警察から名指しで「罰則強化の見せしめ」的に取り上げらたら、監査役はどうするんでしょうね。
まとめ:法律を変えるならロビイングしたほうが早い?
- LUUPは電動キックボード普及のためにロビイングを実施。
- 「マイクロモビリティ推進協議会」を通じて政府と連携。
- 実証実験を活用し、2023年の道路交通法改正を実現。
- 日本のロビイングと根回しの成功事例として注目される。
LUUPは、規制という大きな壁をロビイングと根回しで乗り越え、電動キックボードという新たなモビリティの形を日本に広めました。
その成功は、データに基づいた活動と業界全体の協力が重要であることを示しています。
LUUPの取り組みは、他の企業やスタートアップにとっても貴重な参考事例と言えるでしょう。
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