2020年代初頭から普及し始めた5Gは、高速・大容量通信を実現し、さまざまな新しい体験を提供しました。
次に控える「6G」とは、一体どんな技術なのでしょうか?
まだ世間に馴染んでない未来なワードですが、2030年には実験的運用がスタートします。
10年後には私たちの暮らしを、大きく変えているかもしれません。
本記事では、今更聞けない6Gの概要から活用方法、未来の可能性までをわかりやすく解説します。
今から知っても遅くない「6G技術」とは?
「6G(6th Generation)」とは、5Gの次に登場する第6世代のモバイル通信技術です。
瞬間的なデータ転送速度は100Mbpsに到達。
この数値は光回線(平均10Mbps)を大きく上回る速度です。
モバイル回線が固定回線よりも速くなるため、普及率次第では、インターネットに接続する方法も固定からモバイルへ移行していく可能性もあります。
商用化される時期は2030年以降
6Gの商用化は2030年以降を予定しています。
2025年現在は、世界各国が研究段階と実用化に向けてラストスパートをしているところ。
6G通信網を整備するには、インフラ周りの法整備もかかせません。
日本ではNTTとNTTドコモを主体に、国内ベンダーと政府が官民共同で、6Gの実用化に向けた実証実験や標準化に取り組んでいます。
6Gの主な特徴
6Gは以下のような特徴を備えています。
- 超高速通信
通信速度が100Gbps(ギガビット毎秒)に達する見込み。これは5Gの約100倍の速度で、よりスムーズに大容量データをリアルタイムで送受信できます。 - 超低遅延
通信の遅れ(遅延)が極めて少なく、リアルタイムでの操作が可能になります。例えば、遠隔地での手術や自動運転は安全性と正確性に大きく貢献します。 - 大容量デバイスの接続
6Gでは、5Gよりも多くのIoTデバイスを同時に接続できます。都市全体のネットワークを一つの集合体にすることで、完全な「スマートシティ」として機能します。 - 高い省エネ性能
データ処理と通信の効率が改善され、より少ないエネルギーで膨大なデータを送信できるため、持続可能な社会に貢献します。
わかりやすくいえば、「5Gよりスゴイ」で完結します。
6Gをモバイル通信として、スマートフォン向けに開放するかは分かりません。
まずはコネクテッドカー(完全自動運転)の運用に大きな貢献をする通信技術ですし、一般と同回線で繋げるようにすると、ハッキングのリスクが高まってしまいます。
これからは、「衛星通信」「5Gと6Gの共存」「固定回線」のそれぞれから、自分に適した通信方法をハイブリッド式で選択することが、新しいスタンダードになるかもしれませんね。
6Gの活用例
6Gが実現すると、私たちの生活にどのような変化がもたらされるのでしょうか?
いくつかの具体的な利用シーンを紹介します。
1. 医療の進化と遠隔手術の普及
6Gの低遅延技術により、遠隔地での手術がリアルタイムで行えるようになります。
例えば、熟練した医師が都市から遠く離れた地域の病院と接続し、現地の医師と協力して手術を行うことが可能に。
これにより、医療サービスがどこに住んでいても受けられるようになり、地域医療の充実にもつながります。
優秀な医師は巨大大学病院が抱えることが多く、遠隔医療が当たり前になると、大学病院を発信源にした地方への高度医療技術の還元が主流になるかもしれません。
ただ、地方ならではの問題点として、6Gインフラの整備が遅れがちになるのと、高度遠隔医療を実現するロボットの導入費用が課題になります。
ここは日本お得意の医療保険制度で、真っ先に整えてもらいたいですね。
2. 教育の新たな形
6Gでは、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を用いた没入型の教育が普及します。
学生は、自宅からでも高精細な仮想環境で授業を受けたり、実験を体験したりできるため、場所にとらわれず質の高い学びを得ることが可能になります。
例えば、歴史の授業で古代遺跡をリアルに探索したり、宇宙空間を仮想体験したりと、臨場感のある学びが実現します。
こう聞くと、「校舎の存在意義はどうなる?」の課題にぶち当たりそうですね。
コロナ禍で対面授業がほとんど無かった世代が、もっとも苦労したのが就職の面接だったりと、「対面コミュニケーションを育むことはVR空間で可能なのか?」が最大の焦点かもしれません。
3. 自動運転とスマートシティの発展
6Gの通信速度と低遅延の特性により、車同士や交通インフラがリアルタイムでデータを交換できるようになります。
空からはGPS、地上では6Gが相互にカバーしあうことで、自動運転の精度が向上し、2024年よりも安全なサービスになりますし、自動運転が当たり前になることで、渋滞や事故の減少が期待されます。
また、スマートシティでは、都市全体のインフラが連携し、エネルギー消費の最適化や災害対策の向上が実現します。
スマートシティ分野では、トヨタが静岡県裾野市で実証実験をしている「ウーブンシティ」が先端にいます。
スマートシティ×6Gの未来に興味がある方は、チェックすることをおすすめします。
4. エンターテインメントの進化
6Gは、ホログラム通信や高精細なVR・ARを活用した新しいエンターテインメント体験を可能にします。
コンサートやスポーツ観戦では、観客が会場にいるかのように臨場感を楽しめるでしょう。
もしかしたらVTuberなどのバーチャルアイドルが、世界中にホログラムで登場するなど、エンタメ業界に新しいジャンルが誕生するかもしれません。
さらに、友人とのコミュニケーションも、従来のビデオ通話からリアルなホログラム通話に変わり、新しい形の交流が楽しめます。
5. 環境モニタリングと持続可能な社会
6Gの省エネ性能とデータ処理能力を活かし、リアルタイムでの環境モニタリングが可能になります。
例えば、都市全体の大気や水質、森林の状態などをリアルタイムで監視し、異常が発生した場合に迅速な対応ができるようになります。
これにより、持続可能な社会の実現にも貢献します。
6Gの課題と未来
6Gの導入には多くのメリットがある一方で、いくつかの課題もあります。
- インフラ整備
6Gは、5G以上に高い周波数帯を使用するため、通信エリアをカバーするためには基地局の増設が必要です。特に地方エリアでは、この整備に時間がかかる可能性があります。 - セキュリティとプライバシー保護
6Gでは、膨大なデバイスが同時に接続されるため、サイバー攻撃のリスクが高まります。プライバシー保護やセキュリティ対策の強化が求められます。 - 通信インフラの持続可能性
通信技術の進化に伴い、より効率的なエネルギー使用が求められます。6Gは省エネ設計が重視されていますが、実際のインフラがそれを達成できるかどうかは技術開発の進展次第です。
一般で大きく変化するのはストリーミングかと。
現在の5Gと光回線よりも、通信速度と容量にかなり余裕が生まれるため、4Kカメラ以上での生放送も可能になるでしょう。
同時視聴者数も余裕が生まれるため、音楽フェスの生放送だったりネット中継が、TVの生放送より快適になる可能性もあります。
コネクテッドカーや遠隔医療は、通信速度よりもロボット技術にまだ課題がある段階。
遠隔医療が出来る場所に患者を運ぶのか、それともロボットを患者の元へ派遣するのか━━。
まだまだ課題は山積みですが、だからこそビジネスチャンスが眠っていると思います。
まとめ:6G分野では日本が世界を牽引している
6G技術は、通信の高速化、低遅延化、大容量化などにより、私たちの暮らしに新しい可能性をもたらすと期待されています。
……ところで、5Gの整備状況はどんなもんなんでしょ?
総務省によると、予定では2023年末で人口95%以上のカバー率を目指していました。
2024年3月現在で、日本の全人口98%カバーを達成したらしく、一応ロードマップ以上の成果となっています。
4Gの代わりに5Gが当たり前になってはいますが、企業がいうほど「速くなくない?」と感じている人も多いと思います。
6Gが台頭してくると、モバイル通信はいよいよ”高速すぎるインターネット”に突入するのではないでしょうか。
医療や教育、エンターテインメント、自動運転、環境保護など、幅広い分野で活用され、より便利で豊かな未来を実現するでしょう。
しかし、6Gが一般化するにはまだ数年の研究とインフラ整備が必要です。
持続可能な社会を目指すためには、セキュリティやエネルギー効率の改善といった課題もクリアしていく必要があります。
6Gの未来は2030年に来ると想定されていますが、私たちの生活にどんな影響をもたらすか、これからの進展を楽しみにしながら注目していきましょう。
コメント