サイトを訪れた瞬間に、上からひょいっと現れる「通知を許可しますか?」というダイアログ。
正直「邪魔だな」と感じて即座にブロックする人がほとんどだと思います。実は私も、ほとんどのサイトでそうしています。
でも、なぜあんなに嫌われそうなUIを、多くのメディアが導入し続けているのでしょうか。そこには、1,000人のうち 「たった10人」 を捕まえるための切実なデータ戦略と、Googleの評価をめぐる「裏のカラクリ」がありました。
「1%の許可」がメディアの命運を分ける理由
多くのWebメディアにとって、通知を許可してくれるユーザーは全訪問者のうち、せいぜい1%から5%程度だと言われています。
「たったそれだけ?」と思うかもしれません。でも、この数パーセントの人たちは運営者にとって 「金の卵」 なんです。
- 検索結果に左右されず、直接戻ってきてくれる
- SNSのアルゴリズムに邪魔されず、記事が届く
- 何度もリピートしてくれる「熱狂的なファン」になりやすい
今のウェブは、GoogleやSNSの機嫌ひとつでアクセスがゼロになる時代。だからこそ、運営者は嫌われるリスクを冒してでも、自分たちで直接アクセスをコントロールできる「Webプッシュ」のパイプを欲しがっているんです。

通知は「Google Discover」へのチケットになる
さらに、最近のSEO事情を覗くと、別の面白い理由が見えてきます。
Google Discover(スマホのGoogleアプリなどで出てくるおすすめ記事)に掲載されるには、明確な基準は公開されていません。ただ、SEOアナリストたちの間では 「リピーターの多さ」 や 「滞在時間の長さ」 が重要視されているというデータがあります。
通知から飛んできてくれるリピーターは、そのサイトを信頼しているため、じっくり記事を読んでくれます。 その「良質なアクセス」という数字がGoogleに蓄積されることで、「このサイトは信頼できる」と判断され、さらに大きな集客を生むDiscoverへ道が開けるというわけです。
つまり、あの邪魔な通知ダイアログは、サイト全体の「評価を下支えする装置」として機能している側面があるんですね。
UXを犠牲にしても「データ」を奪い合うWebの末路
「1記事を何ページにも分けるページ分割」や「多すぎる広告」。
これらも通知と同じく、限られた1アクセスからどれだけ多くの「データ(PVや回遊)」を絞り出すか、という設計から生まれています。
UX(ユーザー体験)を多少犠牲にしてでも 、数字を作らなければメディアとして生き残れない。そんな大手メディアの舞台裏が透けて見えます。
もちろん、本当に追いかけたいお気に入りの専門サイトなら、通知を受け取るメリットもあります。でも、それ以外はスルーして全く問題ありません。
ウェブが「情報の質」を競う場所から、いつの間にか 「データの奪い合い」 の戦場になっている。そんな現状を、ちょっと冷めた目線で眺めてみるのも、ネットとの賢い付き合い方かもしれません。
これから先、私たちの「アテンション(注意)」はますます価値を持っていくでしょう。通知の許可ボタン一つとっても、それは自分の時間を誰に預けるかという小さな意思表示。
「情報のノイズ」に振り回されないためにも、たまには設定画面から通知リストを整理してみるのがおすすめですよ。