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Adsenseは自動化に「任せる」から「設計する」に移行する

Adsenseの攻略はこれまで数多くのメソッドが生まれてきました。現在のウェブにある施策は旧来から続いている「最適か最善か」の選択です。しかし現在は、自動化の性能も良くなり、こちらが何か設定する必要性も薄れてきたと考えられます。

自動広告だからといって、全て任せるのはいささか非効率であるといえるでしょう。これからは「自動化を設計する」に考えをシフトするべきです。自動化を享受しながら、AIを誘導してより最適を狙うことが重要です。

Adsenseの自動化は「稼ぎ優先」

Adsenseの自動広告は初期設定だと、CTRを最善に広告収益を最大限にするような仕組みになっています。考えれば当然なことです。もし自分がDeveloper側なら、わざわざCTRの低い位置に優先表示することはしないし、広告を出稿してくれた企業にも申し訳なくなるでしょう。

しかし、もっと大切なことがあります。ウェブサイトを閲覧しているユーザーのことです。

広告の自動配信は仕組み的に、ユーザー体験の向上には繋がっていないと考えられます。広告があるから記事がより面白くなる━━みたいな体験はしたことがないはずです。まぁ案件なら「PRありきの記事」で組み立てるから、面白くしようとするライターの技量に注目はされるでしょう。

読者行動と広告接触点のズレを減らす工夫

読者は以下の順にページを視線スキャンします。

タイトル → 導入文 → 最初のH2 → 本文 → 結論/関連記事

このため、広告をどこに配置するとどのような効果があるかは、以下のようになります。

セクション クリック傾向 UX影響 推奨アクション
冒頭(H2前) 高(初期集中ゾーン) 中(違和感少) 最重要:1枠を固定設置
本文中(H3〜H4間) 低〜中(慣れでスルー) 高(読了妨害) 1本程度に限定(リッチ広告非推奨)
文末(結論・関連記事前) 中〜高(離脱前の再注目) 低(自然) テキストorディスプレイ1枠配置
サイドバー 中(視線の戻り時) 固定追従型に1枠(AMP非対応なら除外)
ポップアップ/アンカー 高(スマホ中心) 高(嫌悪リスク) スマホ限定+表示回数制御が必須

自動広告に全て任せているタイプなら、「本文中の数」を意識するべきです。自動化でもっとも恩恵が出る(入れやすい意味で)のが本文中だけど、最悪の場所にいっぱい詰め込まれる可能性があります。

本文中に入る広告ほどウザいものはないでしょう。長文になればなるほど、”自動化に任せるほど”広告の数が多くなるため、読みづらい構成になってしまいます。

だから本文中に入れるべき広告の数は、こちら側で制御してあげるほうが、UXの阻害を防止して離脱率の低下につながるといえます。

なんだかんだ、古来から伝わる「Adsense配置の正解はこれ!」がもっとも正しいというか、もっとも最適に近い答えのひとつ、となるでしょう。

推奨する広告の数値レンジ

サイトタイプ 推奨スライダー位置(目安) 根拠
読み物系ブログ(防音Labなど) 30〜40%(低〜中) スクロール中の視線集中を壊さない
商品紹介・レビュー系 50〜60%(中) 見出し間でクリックされやすい構造
ニュース・短文サイト 70%前後(高) 滞在時間が短いので初期集中重視

💡 この設定は “1ページあたり広告数の上限” に近い意味を持ちます。
高すぎると「本文中に割り込みすぎ」、低すぎると「CTR機会損失」が発生します。

各フォーマットのUX影響と最適設定

フォーマット UX影響 推奨設定 コメント
アンカー広告(固定バナー) 中〜高 ✅ 有効(ただしスマホのみ) 離脱前クリックに強いが、読了阻害注意
モバイル全画面広告(Vignette) 🚫 無効推奨 読了率・回遊率を下げやすい
インページ広告 ✅ 有効 本文流れに自然に溶け込む
サイドレール広告 低〜中 ✅ 有効(PCのみ) デスクトップの視線誘導に最適
Multiplex(関連広告) ✅ 有効 記事末配置に有効、関連記事代わりにもなる

✅ 「インページ+サイドレール+アンカー(スマホ)」の3構成がUX最適解。


⚙️ 本文中広告数の指針(2025年以降)

Adsense自動化を最適化すべきポイント

項目 自動化に任せる部分 手動で最適化すべき部分
配置場所 ページ構造ごとに最適位置を学習 重要CTA前・記事途中など、UXを崩す箇所を除外設定
広告形式 自動でマッチング広告を選択 AMP/非AMP、動画やインフィードは手動検証
広告数 表示最適化(AIが調整) ページあたり上限を明示(読みづらくならない範囲)
収益目標 自動最適化(RPM重視) CV導線を優先するページは広告制限
除外設定 ×(AIは理解できない) 重要記事・トップページ・LPは除外必須

🧭 Google広告自動化時代のロードマップ(〜2026)

期間 目的 主なアクション 成果指標
2024 Q4〜2025 Q1 制御の再構築・データ基盤の明確化 - フレーズマッチ中心から脱却
- 完全一致+ブロードマッチのテスト運用
- GA4タグからAdsタグへ主要CVを移行
- ブランド・ノンブランドを分離した構成に変更
Smart Biddingの精度改善(CPC安定化)
2025 Q2〜Q3 自動化と手動制御の最適バランスを確立 - Performance Maxと標準ショッピングの並行検証
- ブランド除外設定の徹底
- RSAのアセット最適化(ピン留め最小化)
- Elevar/Analyzify導入でデータレイヤー整備
ROAS・CTRの安定上昇(±5%以内)
2025 Q4 広告クリエイティブの自動テスト最適化 - RSAと動画アセットを自動組み合わせ
- GSC・GA4・Adsデータを週次統合レビュー
- LTV(顧客生涯価値)指標の導入
CVR上昇・リピート計測精度の向上
2026 Q1〜Q2 完全自動化+人間の戦略判断レイヤー構築 - 自動入札・自動配信を100%稼働
- 「データ入力の品質」最適化を主軸に
- 増分効果分析(Incrementality Test)を導入
CPA効率化・新規流入比率の増加

💡 週次PDCAテーマ例(テンプレ連動)

週次テーマ 検証指標 投稿テンプレ例
Smart Bidding最適化 CVR, CPC, ROAS 📊 基本型
ブランドキャンペーン分離 CTR, Imp, CPC 🧩 箇条書き型
Performance Max検証 新規ユーザー率, ROAS 🧩 中間報告型
GA4→Adsタグ切替効果 CV数, 遅延率 🧩 ストーリー型
RSAアセット改善 広告スコア, クリック率 🧩 振り返り型

🎯 最終方針(2026までの理想状態)

“自動化に任せる"ではなく、“自動化を設計する"広告運用へ。

  • データ入力(タグ、シグナル、フィード)の品質を最優先
  • クリエイティブは人間の戦略判断で設計
  • 自動化はテストと最適化を繰り返し、週次PDCAで学習

まとめ:自動化を設計する時代へ

Adsenseの自動広告は便利な機能ですが、全てを任せてしまうとユーザー体験を損なう可能性があります。本文中に広告が詰め込まれると、読了率が下がり、結果として離脱率が高まってしまうでしょう。

重要なのは、自動化を「設計する」という視点です。読者の視線の流れを理解し、適切な位置に適切な数の広告を配置することで、UXを保ちながら収益を最大化できます。

2026年までを見据えたロードマップを立て、週次PDCAで改善を続けることで、自動化と手動制御の最適なバランスを見つけられるでしょう。

参考資料:5 Google Ads tactics to drop in 2026