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生成AIへの指示書は『MUCS』で最適化する:わかりやすいプロンプトの書き方

GenAI(生成AI)への指示は「プロンプト」としてチャット文字で提供している。

人間同士でも仕事の指示をするときは、文字か文章でのやり取りになる。その時に「わかりやすさ」はどうしても存在する。

GenAIにとっての"わかりやすさ"とはなんだろうか?

【結論】生成AIにとってわかりやすい指示書とは?

  1. 目的を明確に(Mission)
  2. 条件を体系的に(Uniformity)
  3. 曖昧さを減らし(Clarity)
  4. 優先順位を明記する(Scale of Priority)

頭文字をとって「MUCS(ムクス)」で覚えてもいいです。

1. AIが最も理解しやすい書き方:構造化

AIは構造化された情報を最も得意とします。

例:

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目的:SEO記事を書く  
ターゲット:海上釣り堀の初心者  
出力形式:Markdown  
条件:  
・2000〜2500字  
・専門用語は平易に  
・実体験ベースの流れ  
・E-E-A-Tを意識  
禁止事項:  
・断定しすぎ  
・根拠のない情報  
優先順位:  
1. 正確性  
2. 読者理解  
3. SEO  

箇条書き × 階層構造 × 優先順位

AIにとって"読みやすいプロンプトは、箇条書きリストで要点を絞って伝えるべき。雰囲気としては、カタコトの英語みたいな感じで十分。

上記のテンプレは"AIに理解しやすいJSON"に近いです。

「~をやってから~をやって~をやるように」みたいな質問よりも、“やってほしいこと"と"やってほしくないこと"をハッキリ分けたほうがいいですね。

曖昧な表現は避ける

AIが困る例:

  • いい感じに書いて
  • 読みやすく
  • ざっくり
  • まとめて

このような指示でもAIは"それっぽく"仕上げてくれはします。

しかし曖昧な質問は推論モデルをより深く稼働したりと、生成する過程で多くのリソースを使ってしまいます。従量課金制だと多くの料金を支払うことになるから効率が悪いです。

AIへの指示は「具体的な基準」が必要で、コスト減にも繋がります。

良い例:

  • 初心者が5秒で理解できる表現に
  • 1段落は3〜4文に
  • 専門用語は説明付きで
  • 図解のかわりに比喩を1つ入れる

文章を作成するなら、このように必要な要素を断定して入れるべきです。

ゴールを最初に置く(これが最重要)

AIは「ゴール → 手段」の順に最適化します。ようするに、やってほしいことを最初に記載するのがベストです。

例:ゴール:釣り初心者が"今日持っていく餌"を決められる記事

これがあるだけで、次の要素が最適化されます。

  • 記事の流れ
  • 例示の深さ
  • 解決ポイント

最初に作成したい物・実現したいことを決めてから、やってほしくないこと・やってほしいことをルールとして追加する感じでOKです。

何も思いつかないのであれば、とりあえず「今言える範囲」を入力しておいて出力し、「何か違うんだよなぁ」と感じたら、足りない部分を後から補足して修正してもらえばいいだけです。

出力フォーマットは必ず指定する

AIは形式が決まると精度が安定します。

  • Markdown
  • 見出しレベル
  • 文字数
  • 箇条書き / 表形式
  • YAML front-matter あり / なし

例:出力はMarkdown。H2を3つ、H3は自由。最後に表を1つ追加。

形式を決めるってことは、記事の論理を知っているほうが有利に働きます。

「人間が読みやすい記事とは?」「疲れない文字量は?」「起承転結などストーリー性をもたせる?」「1センテンスの長さ、句点句読点の位置」など、何かモデルになるものを意識すると、希望した結果が生まれやすいです。

こういった"読みやすい構成"というのは、必ず理論ありきで何らかの名前がついています。

理論ならAIのLLMは大抵フォローしているので、ビジネス用語でもいいからプロンプトに織り込むと、それっぽい記事がルールの追加なしで簡単に出来たりします。

例えば営業資料をまとめる仕事をさせたいなら、「提示したデータをもとに営業資料を作成してほしい。PDCA準拠でレポート形式に」とかですね。この場合はパワポとかExcelみたいに、最終的なフォーマットをそこで指定してもいいです。

“優先順位"を明記するとさらに強い

AIは複数条件を与えると、どれを重視するか悩んでしまいます。もし複数の条件を与えるなら、Noリストにして優先順位を明確にさせたほうがいいです。

例:SEOに強い記事を作成してもらうなら

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優先順位:
1. 読者の疑問を解決する
2. 正確性
3. SEO
4. 文体の統一

(1)に"読者の疑問を解決する"があるので、メインKWで訪れた人に対して「確実な答え」を記事内に配置する必要があると理解します。次に内容の正確性が求められ、SEOと文体の統一が後に続く形です。

この順番はバラバラでも同じようにはなります。でも"読者の疑問を解決する"がSEOの最適解であるため、意識した記事を作成するなら、理論でもっとも重要なことからNoリストにするといいです。

AIは「前提情報がまとめてある」ほど精度が上がる

AIは膨大な情報から正解を探すのが得意です。……とはいえ、人間の指示側が曖昧な情報を与えてしまうと、それを正解として扱うことがあります。

この概念はサーチエンジンと似ています。

欲しい情報を探している時、検索フォームに「キーワード」を入力します。コンピュータは基本的に大文字と小文字を区別して検索するし、誤字脱字をすると全く別の答えから引っ張ってきたりします。

サーチエンジンで情報を見つけるのが得意な人は、欲しい情報をどうやって引き出すかを知っているから、最短手順で情報にたどり着けます。逆に下手な人は、「あそこのアレとって」みたいな伝え方が形骸化してしまっている可能性があります。

  • “散在した情報を統合すること"は得意ではない。
  • “体系化された前提"を与えると一気に強くなる。

例:

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前提:
・サイト名:〇〇
・記事トーン:柔らかく説明的
・主読者:30〜40代男性
・E-E-A-Tの基準:○○
・普段の記事構成:○○

このように、“サイト名"など固定された名前はあらかじめ記憶させたほうがいいです。もしサイトのアクセス解析で年齢層とかわかるなら、ペルソナに設定しておけば、AIも対象年齢に合わせた内容と理解度で文章を書いてくれるようになります。

応用すれば、「幼児がわかるように」とか「高校生までのレベルで」など、大雑把な年齢層でチャンクを作ることができます。

逆にNGな書き方

  • 一文が長すぎる
  • 情報が前後に散らばる
  • 条件が文章の途中に混じる
  • タスクが複数まとめて書かれる
  • “〜してください"を繰り返す

AIは「意味単位の明確なチャンク」が必要です。文章(伝える言葉)が支離滅裂でもある程度は理解してくれますが、基本的に「1文に意味はひとつだけ」が伝わりやすい文章としても最適です。

「これやっていい」「あれやっちゃだめ」と別々にしたほうがAIはわかりやすいです。「これはやっていいけどあれはやっちゃだめ」は人間でも意味わからなくなるでしょ?

コツとしては、接続詞を多用せず、文章は冷淡なくらいでいいです。人間相手に不機嫌そうな言い方をすると機嫌を損ねるけど、AI相手はそんなこと気にする必要がありません。むしろ丁寧すぎる言葉はデータをより多く送ることになるので、コスト増になります。

もうAIにプロンプトを書かせればいいじゃない

どうしてもプロンプトを書くのが苦手な方は、いっそのこと「AIにプロンプトを書かせればいい」にたどり着いてほしいですね。

例えばここまで例に出している、「SEOに強い記事をAIに書かせたい」を目標にした場合。

上司からオウンドメディアの記事を作成してといわれ、ついでに「SEOに強くして」といわれたけど、私はそんなこと知らない。過去記事を見ると同じように自分が書けるとは思えない……。どうすればいいの~?

━━なんて時、GenAIにこう質問すればいいんですよ。

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「◯◯をテーマとした記事を作成する。
条件としてSEOに強い記事にする必要がある。
私にはそれが何であるかわからない。
SEOに強くするための要素を私に質問して、集めた材料から完成してほしい」

このように疑問をプロンプトに落とし込めば、AIが"SEOに強くするための必要な情報"を質問してくれるので、あとはそれに答えて、最終的に「これらの要素をもとに記事を完成して」と締めくくればいいです。

まとめ:最適なテンプレ(実務用)

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【目的】
◯◯

【ターゲット】
◯◯

【出力形式】
Markdown / 字数 / 見出し / 要素 など

【前提】
◯◯

【条件】
・◯◯
・◯◯
・◯◯

【禁止事項】
・◯◯

【優先順位】
1→2→3

プロンプトのテンプレートを作成するなら、“必要な要素"を任意で入力するタイプにすると、汎用性があって便利です。全部ゼロから考えると時間がかかってしまうし、業務に合わせてあらかじめ作成しておくといいですね。