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ブラウザの「縦タブ」がアツい理由。なぜ今、人類は横並びを卒業するのか

ブラウザの進化論、最終章。なぜ僕たちは、今まであんな狭い「横」に固執していたのか。

ちょっと前に「Arc」や「Edge」が縦並びタブを標準機能として推し出して話題になったけど、ついに王者Chromeも重い腰を上げ始めた。Beta版やCanaryビルドではすでに実装が始まっていて、標準化へのカウントダウンが聞こえてくるようだ。

「タブなんて横に並んでればいいじゃん」 「また新しいUIの押し付けかよ」

そう思う人もいるかもしれない。でも、ちょっと待ってほしい。 この流れ、単なる流行り廃りじゃなくて、 ハードウェアの進化に対する「必然の適応」 なんだ。

今回は、なぜ今「縦タブ」なのか、そしてなぜ今まで「横タブ」だったのか。その歴史的背景と、僕らがこれから向かう先について語らせてほしい。

かつてのディスプレイが「横並び」を強制していた

そもそも、なんでブラウザのタブは最初から上部にあったんだろう? 答えはシンプルで、 昔のディスプレイが「四角かった」から だ。

インターネット黎明期からブラウザに触れている人なら、この感覚が腑に落ちるはず。 ブラウン管(CRT)モニタの時代、解像度は640x480や800x600、良くても1024x768だった。アスペクト比は「4:3」。

ただでさえ狭い横幅。 そこに「縦タブ」なんてサイドバーを表示させたらどうなるか?

コンテンツが見えなくなる。

当時のWEBサイトは、限られた横幅いっぱいに情報を詰め込んでいた。 そんな状況で、画面の左側200pxをタブに献上するなんて正気の沙汰じゃない。 だから、タブは「コンテンツの邪魔をしない上部」に居候するしかなかったんだ。

Monitor Evolution

ワイド画面の「余白」こそが現代のフロンティア

じゃあ、今はどうだ? 目の前のディスプレイを見てほしい。

めっちゃ横長じゃない?

フルHD(1920x1080)が当たり前になり、4Kやウルトラワイドモニタも普及した。アスペクト比は「16:9」が標準だ。 でも、WEBサイトのデザインはどう変わったかというと、 スマホ対応のために中央寄せの縦長レイアウト が主流になった。

PCでYahoo! JAPANやブログを見ているとき、画面の左右に「謎の白い余白」が広がっていることに気づいているだろうか?

そう、 今のPCブラウジング環境は、横幅が余りまくっている んだ。

「余白」の有効活用

この「死んでいる横のスペース」を有効活用しようというのが、縦タブの基本的な発想だ。

縦の表示領域(コンテンツが見える高さ)は、スクロールが必要なWEB閲覧において最も重要なリソース。 上部の横タブとアドレスバーを消して、その分コンテンツを上に広げる。そして、余っている横のスペースにタブを逃がす。

これが合理的じゃないわけがない。

「タイトルが読める」という当たり前の快感

スペースの問題だけじゃない。 使ってみるとわかるけど、縦タブの真価は 「タイトルが読める」 ことにある。

横タブ派の人、タブを20個、30個と開いてみてほしい。 タブの幅はどんどん縮まり、最終的にはファビコン(アイコン)しか見えなくなる。 「あれ、あの調べ物してたタブどこだっけ?」とクリックして回る虚無の時間。

縦タブなら、どれだけ開いてもタイトルが表示される。 リストとして並ぶから、スキャンもしやすい。

Tab Readability

人間の目は、横に並んだものを追うより、縦のリストを追うほうが得意なようにできているんだ(本棚の背表紙だって縦書きでしょ?)。

一度座ったら戻れない、ファーストクラスの居住性

正直、最初は違和感がある。 10年、20年と染み付いた「マウスを上に持っていく」手癖はなかなか抜けない。

でも、一度慣れてしまうと、もう横タブには戻れない。 情報の見通しの良さ、画面の広さ、そして何より「理にかなっている」という感覚。

Chromeが本気で縦タブを実装し始めたら、世界のスタンダードは一気にひっくり返るだろう。 かつてガラケーからスマホへ移行したときのように、「なんで今まであんな狭い画面で頑張ってたんだっけ?」と笑い合う未来が見える。

さあ食わず嫌いせず、新しいコトを試してみない? ブラウザの両サイドには、まだ見ぬフロンティアが広がっているんだから。